nekoyanagi0777’s diary

僕の/私の 脳内メモリー

2023 6月

2023 6/2 私と先生が並んで

 

6月に入った。

入社して2ヶ月が過ぎ、だいぶ会社に慣れてきた。

今はOJT中。

帯状疱疹が出た1週間が嘘かのように、今では我が社の社員が大好き。

優しくて良い人ばかりだ。

 

今日は教育関係のEXPOを見学するという研修だった。

お昼に会社に戻ってくると、台風のため帰社して良いと言われた。

しかし私は夜に横浜でライブがあったので、それまで暇を弄ぶことになった。

 

インスタで、帰社して良いらしいライブまでなにしよ!とるんるんで投稿した。

そのテンションで、昨日の返信がまだだった先生にメッセージを送った。

「暇を弄んでる私です」

 

すると先生は「あらら珈琲でも飲みますか笑」と返信してきた。

これはきっとあなた1人で、だろうと思ってそれっぽく返信してみたが、「○○駅でならあと少しで動けます」と自ら今の状況を説明してくれた。

なんと。

そんなことがあるのか。

ただの報告で送ったメッセージから、一緒に珈琲を飲むことになった。

突然の予定に心拍数が分かりやすく速くなる。

胸に手を当てると本当に速かった。

 

下町の駅で待ち合わせることにした。

南口を出たら、本当に先生がいた。

一緒に歩いて先生がメッセージで送ってくれた珈琲屋に向かった。

 

静かなところだった。

人間の多いところは嫌だから。

私はアイスコーヒーを、先生はケーキセットを頼んだ。

「ありがとうございます来てくれて」

「いや丁度珈琲屋行こうと思ってたからいいんだよ」

ケーキと珈琲たちがきた、こだわりのお豆さんらしい。

「この珈琲とケーキ一口良いよ」

え?

私は「やったー」と口では言ったが、え?という言葉が頭の中をくるくるした。

良いの先生?気にしない人?心を許してくれたってこと?

しっかりフォークを使ってケーキを食べて、珈琲も飲んだ。

「私のも良いですよ!」

ストローの刺さっているアイスコーヒーを差し出したら、「あいいんですね」と先生は全然飲んだ。

どうとも思ってないからできるのか、私はある異性の友達はどうとも思ってないから同じことをする。

他の教え子にもやるんだろうか、色んな疑問を頭にぐるぐるさせて話を進めた。

 

あの4月から話せていないことを沢山、ゆっくり話した。

たまに、体感十秒目が合って「ん?ん?」となると、私が耐えきれなくなって「なんですか!」と照れたように笑ってしまった。

「いや確かに髪切ったなぁって」

そんな一言でも私の心臓は速度を上げていた。

 

「ここは静かでいいですね、いいお店です!」

「人多いけど○○駅だったら、お気に入りのスタバにしようとしてたんだよね」

「へー、今度行ってみようっと」

「うん、行きましょう」

「....!そうですね、行きましょう!」

語尾と雰囲気で判断し、また次を楽しみにすることができた。

 

「それと、あれ、いつ、来るんですか」

目を見つめられて言われた。

「ん?」と疑問をなげかけながら、目を覗き込むと微笑した。

「あ研究室にいくってやつですか?」と聞くと「そうです!」と先生。

楽しみにしてくれてるのだろうか、なんだかいつ来るのか聞かれるだけで嬉しかった。

 

「この前私家族旅行で新潟泊まりに行って!ここです」

「たっけ!いいところでは?」

「奮発でした」

「いいなぁ、いい景色ですね。じゃあ課長くらいになったら奢りだね」

課長への道のりは長いですよと笑いながら言われた。

私はいつかの小説を思い出した。

 

先生がお手洗いに行った時、私は会計を済ませた。前回、先生が豪華アクアパッツァを勝手に頼んで全部奢ってくれたワイン会を思い出す。

私も交代でお手洗いから帰ってきたら「お会計ありがとうございました」と言われた。

「いやいや、私が呼び寄せたんで良いんですよ」

「あとで返します」

「いいですよ、次に、ね」

次の確約をした。

 

「そろそろライブに向かいますか」

台風は私たちに気を遣って、少し待ったら雨足を弱めてくれた。

一緒に改札に入り、「何番線ですか?」。

まさかの一緒の電車に乗った。

吊り革に掴まり、先生が一番好きだというローカル電車が動く。

駅のサラリーピープルも気を使い、電車に乗り込む人数を抑えてくれて人がそれほど多くは無かった。

トンネルに入ると、隣に並ぶ私たちが映った。

窓の反射で見る先生の顔は初めてだった。

肩が当たる、電車も気を遣って運転を少し荒くしてくれているようだ。

 

駅に着いて、次の乗り換え場所まで送ってもらった。

「ありがとうございました」

 

ライブの帰りは台風の風で信じられないほど荒天だった。

傘の意味をなさないような天気だ。

しかし、あの台風が直撃する日、先生との時間だけは確かに穏やかだった。

ぽつぽつと落ちる雨、揺れるローカル線、人の少ない街。

全てが私たちを見守っているようだった。

 

 

 

2023 6/8 統合の大切さを暗に示す上司

 

昨日から喉が痛くて、咳が出る。

4月からの溜まりに溜まった疲れが絶対的に出ている。

たまにチクチクと突き刺す痛みがくると、咳が止まらずに吐き気に繋がって、空気を余計に吸ってしまって呑気がする。

とまぁコンディションの悪い木曜だが、今日担当のあの2人は良いコンビ以外の何ものでもなかった。

メガネの約50歳から出てくる話は、私のアンテナをあの頃のようにピンと張らせた。

この会社にはこんな人が多い、しかしこの人は特にしっかりと会社との距離を心得ている。

会社にずっといて心地が良くなってきたということは、染まってきているということだと。

部門外、会社外、日本外との接点を持って、常にここがおかしいんじゃないか、もっとこうできるのではないかという視点を持つべきだと説く。

その違和感を大切にして欲しいと。

全くそう思う。

自分が入社した時感じたこと、音大で感じてきたこと、自分しか感じない違和感を大切にすること。

2年目の方とも、とても相性が良いみたいだった。

あの2人はウッディとバズみたいなタッグ感があった。

いつか飲みに行きたい、僕の先生との体験について話してみたい。

きっと見えないものが見えた感覚を、共有できるに違いない。

 

 

2023 6/12 人生に付随する音楽を

 

風邪明けの会社だ。

今日の人たちも優しくて、温かい人たちだった。

今イヤホンからはAlmost like being in loveが流れる。

手元には270ページ目のモモ。

人生はいつも音楽と共にあることを、まるで村上春樹のように綴っていこうじゃないか。

 

 

2023 6/30

今日は大学の友達と飲みに行く日。

会社帰りに小田急線へと向かう。

あぁ、この青よ、懐かしの青よ。

あぁ、この地下よ、あの人を待っていたこの地下。

東京でのレッスンを終えて乗り込んだこの車両、地下の風が異様に強いこの駅、全ての場所に自分の生きた証が染み付いている。

かつて、こんなにも、場所に対して哀愁を覚えたことがあっただろうか。

これは歳のせいでもあるだろうし、思いの強さ故でもあると思う。

良い4年間を過ごしたな。

あの頃のように、これから友達とショッピングをする。

ピアノの練習に疲弊して、おやつタイムと釘打ち外へ出かけたあの夕方、何時に4階でと申し合わせてそれを楽しみに頑張った練習時間、北校舎にいくのか南校舎で練習をするのか随時確認しあったあの時、おやつタイムを挟んだところでやっぱりやり切れなくなってそのまま帰った道、とまたその道であの人が現れないかそわそわしていた気持ち。

自分の原点であり、軸であり、故郷であり、戻るべき場所なのだ。

そんな場所と思い出に、日本酒で乾杯をする。