20240125 私はいつまでこうしているだろう
私の誕生日が終わろうとしている。
今日の朝、起きると小学校の先生からメッセージが来ていた。
毎年誕生日にはメッセージをくれる。
ありがたいことだ。
その次に来たのは、あの先生からだった。
きっと2年前に、先生から誕生日メッセージが来ただなんてことがあったら、それだけで自分は天にも昇る気持ちになっただろうと思う。
今は、次はどんなメッセージが来るだろう、どんな風に経路を敷けば望み通りのプロットになるだろう、つまりはどうやったら次に会う約束ができるだろうかと、画策している。
噛み付き得るメッセージをつけて、お礼を言った。
先生は何も噛み付くことなく、素敵な1日をと決まり文句で朝のメッセージを締めた。
そのメッセージを見たのはちょうど自分が電車に乗って出勤していた頃。
今日1日、どんな1日になるだろうか、あまり素敵な1日にはならなそうだとも思ってしまった。
会社に着くと、いつもは出ないあくびばかり出て、完全にテンションがダダ下がりだった。
そんな中、同期とのいつもの楽しみランチタイムが来た。
同期の一人が、「そういえば、今日、バースデーガールなんだねぇ!」と話してくれた。
そうなんだよ〜と、周りの同期もお祝いしてくれた。
なんだかんだ、人間は祝われると嬉しい生き物だから、今朝のことは少しだけ忘れられた。
楽しくお昼を食べて、同期と歯磨きをしたあと、自分だけ戻ろうとすると
「あ待って、これ!はい!」と自分の好きなマカロンを渡してくれた。
まさか、自分はトイレで誕生日プレゼントを渡されたことが無く爆笑してしまったが、
同期もトイレで誕生日プレゼントを渡したことが当たり前だが無く、同じように笑っていた。
喜びながらフロアに戻ると、先輩がニコニコしながらすれ違った。
「今日誕生日なの、なんで言わないの〜〜」
どうやら、自分が社用携帯を忘れた時交換したLINEで、誕生日が分かったようだった。
「今朝言いたそうな顔してたでしょ〜〜そんなことない〜〜?も〜言ってくれればお昼一緒に行ったのに〜、はいこれ〜」
スタバのチケットと、自分の世代のたまごっちがデザインされているじゃがりこをもらった。
いつもテンションが高い先輩だが、今日はとびきりテンションが高く、二人でゲラゲラ笑っていた。
周りの先輩たちも、おめでとうと声をかけてくれて、なんだ誕生日の会社も悪くないなぁと素直に思った。
自分の仕事に戻って、着々と仕事を終わらせる。
そろそろ帰ろうかなぁと思っていた頃、先輩が「今日は早く帰りな〜〜」とまた声をかけてくれて、遅く来た今日だがもう帰ることにした。
今日は帰りにカフェに寄ってゆっくり読書をして帰ろうと思っていたから、どこにしようかと考えていた。
まず、前先生が言っていた今日発売の哲学テキストを買おう。
報告はしないけど、いつか報告しよう、そのために買うことにした。
準備は万端。
どこのカフェにしよう。
大崎。
先生が好きだという大崎。
ダメ元でもなんでもないけど、何も期待することはないけど、大崎のスタバにしようと思った。
調べると、実は2店舗中1店舗が閉業ということが分かった。
言わなければと思い、いや、言えると思ったのかわからないが、とにかく伝えた。
特に期待したことはなかった。
誕生日のメッセージが来たのにそっけないだのと思ったり、ちょっとした話題があったらすぐ伝えようとしてどうにか経路を敷こうともくろんだり。
でも最近は全部うまく行っていない。
素直に誘える勇気があれば。
そんなことを思っていた、あと1時間で誕生日が終わろうとしていた時。
高校の時のある人から「おたおめ」とだけメッセージが来た。
たしか去年も、その前も、メッセージは無かった。
なぜ今なんだ。
すぐ蘇る高校の日々。
LINEの一つ一つのメッセージ。
あんな風に素直に誘えたらな。
昔の彼の努力と勇気を思う。
このメッセージに返事をした後を想像する。
想像するところまで想像して、それからメッセージを打つ。
と同時に、自分はこんな感覚をただ楽しんでいるだけなのだろうかという懐疑が起こった。
もうあと数ページで読み終わる、先生から借りた本の主人公の名は、「鐐平」だった。
20240202 満遍なく行き渡る質問ら
なんだろうこの感覚は。
自分はあるいは集団の会が苦手なのかもしれない。
知らない先輩とのご飯会。
みんな優しそう。
本当に、優しそうで、本音を隠してすらいそうである。
自己紹介タイムからしますか、と始まった。
覚えてもらいやすいように、いやむしろ覚えられるように、思い出すのに苦しさが伴わないように、キャッチーな自己紹介をした。
序盤はいじるようなコメントをしたり、場にスパイスを投げかけようとしたりしたが、おや、これは求められていないかもしれないと思って途中でやめた。
自分は完全に傍観者、聴衆になり、そしてたまに発言者となった。
スパイスから程遠い、それこそ「当たり障りのない」ことを並べる後半であった。
これは自分の本領ではない。
そう思いながらみんなの空気に合わせていった。
自分の先輩は近い仲間と話す時も、大衆がいる時も、どちらも変わらず盛り上がるし、馴染んでいくし、気がきく。
大衆に受ける話もある。
良いような質問をするスキルも、自然にか、努力してか、身についているようだった。
たまらなくなって、たまにスパイシーなことを言うと、否定せず受け入れようとしてくれる雰囲気を感じた。
柔和なのだ。
優しいから、一度ボールを受け取ってくれるから、鋭いことを言えなくなる、否定されるわけではないのに、漂う空気に共感が少ない様、やりづらく、絶妙に辛い、憂う。
先輩は、似たようなバイブスな人だと思っていた、しかしやっぱり違うのかもしれないと感じることがある。
自分はもっとマイノリティなのだ、これは完全に誇っているわけではなく、後ろめたさが香る控えめな誇らしさである。
恐らく自分はお見合いなんぞは向いていないだろうなと思った。
それぞれの奥底で密かに思っていることに目がいきすぎて、息が詰まってしまいそうだ。
良い顔ができないのだ。
気を遣って場を回す、あの明るい人もやりたくてやっているわけではないのだろうきっと。
満遍なく人に話題を振っている、自然な流れではなく、自然な流れに人工的にしようとしたそんな流れ。
でも自分がいざ回すとなったら。
そうしたらやっぱりみんなに質問が行き渡るように対応するだろう。
自分の評価に関係ない人となら、「この人に気を遣えない人と思われないように気を遣おう」という思考にならないはずなんだ、きっと。
評価される場とは、どうしてもこうなったしまうのだろうか、それとも島国故の風潮なのだろうか。
未来の自分には、こんな世界もあるよ、と今の自分に伝えられるように世界を飛び回ってほしい。