最寄駅でせかせか急ぐおとなたちは、みんなある程度の洗礼を受けている。
上司になるかもしれない人と急に接することになった今、そんなことを考えながら駅までを歩く。
朝も早めに出て、信号の一つや二つくらいは余裕で待てるようにならないとな。
なんせ人の模範にならなければいけないのだから。
そんな中、駅を急ぐ無愛想なおとなを見ると、こういうおとなにはなりたくないなと思う。
もうちょっと余裕みを感じていたい。
しかし不動産屋の窓に映る自分は同じように急いでいた。
うん、もうちょっと余裕見ようぜ。
ある日のサックスのレッスン。
意外とみんな、苦労をしているし、悲しいことも沢山あったんだなと気づいた。
自分は幸せだったんだ、と同時に思った。
だから今までの幸せを覆すというか、裏切るように苦しいことを自らしていこうとかいうことでも無いんだけど。
でも、挑戦はしてもいいかなと思った。
先生は親の元では幸せに暮らしたら良いと言った。
それはあと何年、5年もないだろうな。
大学を卒業して3年くらいを、どこで働いて、どんな様子で家に帰ってくるのか、くるべきか。
"挑戦"は、その3年の間にやり始めて良いものか。
お金と時間と年齢を秤にかけて色々を考えるべきとき。
特別な何かになるために。