--悔しいに決まってるだろう
珍しい。
六時を少し過ぎると僕はブログを鬱々と書き出した、夜の六時でない、朝である、これは全く珍しい。
僕は今なんせ空っぽなんだ。
昨日、入試の結果が届いた。
推薦入試は合格、特待生入試は落ちた。
推薦入試で合格は当たり前、特待生入試で合格しよう、と一、二年間頑張ってきた。
そんな僕にとって、封筒を開けた刹那で今迄の全てがラムネのようにしゅわしゅわと溶けてしまうのは何だか不甲斐なかった。
全てが終わりを告げた後のこの感覚はなんだろう、涙は出ないし、心は苦しくない、何か残るものと言えば懐疑する気持ちなのだ。
僕は小一時間ほどきょとんとしていた。
恥ずかしながら、何故落ちたのか分からなかったのだ。
自分の演奏がそんなに下手だったか?聴くに耐えなかったか?僕より綺麗に演奏出来た人がいたということか?
正直今でも、僕にとっては世界七不思議の一つなのだ、自分に少しの自負を持っていたのだから。
結果を報告すると、特待の人たちよりうまくなろう、と励ます人がいる、僕は特待より完全に下手っぴなんだと言われているようで気に食わない。
励ましの言葉さえ、素直に受け止められない、今はそんな僕だった。
僕はあの彼女にメッセージで付き合ってもらった。
僕の話を聞いてくれてありがとう、彼女。
傷を癒しつつ、結局上手い具合にいつもの笑い話に変えてくれたね、憎いね、彼女。
(こんな空っぽの僕に)牛乳を注ぐ(彼)女。
君が注ぐ甘い牛乳を、今は貪欲な僕の心がパンのように吸い取っていく。
僕はミルクパンになるよ。
そんな絵画だろう、あれって。
そして月曜の学校だ。
この鬱々とした朝六時から始まる。
空っぽ。
特に慰めて欲しい訳ではない、悲しくて涙が出る訳でもない、でも授業はしっかりとは受けたくなかった、友達に慰められたら、大丈夫、全然大丈夫、音大生にはなれるから全然大丈夫。
なんて、悔しいに決まってるだろう。
牛乳なんて注いでないでさ、僕のズタズタのプライドを元どおりに施してよ、彼女。
そんなこと考えながら日本史の授業を適当に受けていたよ。
休み時間になると後ろのRちゃんがちょんちょんと僕の背中を叩いてきた。
心配してるんだってさ、僕の隣のKちゃんが伝える。
彼女、なんだ嬉しいな、ありがとうな。
そんなこと言ってるとSちゃんやTちゃんが来て、四人でのコントみたいな会話が始まる。
僕はそれを観客みたく、笑いながら聞く。
なんだかな、君らを見てると僕、元気が出るよ、良い四人組だな。
また少しの茶番をしてくれよ。