nekoyanagi0777’s diary

僕の/私の 脳内メモリー

勇気は無ければ、覚悟などありゃあしない

"ちょっと、時間いい?"

放課後、アイスを食べ、マックで駄弁ったその後のこと、それは寒空の下、満月の夜、別れ際の、全てが全て揃ったタイミングだった。

 

"神奈川は夜の七時"を前にし、彼女に じゃ、また と軽い挨拶をした、何か時を恐れ避けるように。

僕は別れの彼女の表情に何か違和感を感じたのだ。

僕は駅へ、彼女はバス停へと、歩く。

全く、僕の感じた違和感は、大正解だった。

改札を通り、あと数分の電車を待つ僕にメッセージが来た。

ちょっと時間いい?とだけ来たそのメッセージに、僕は全てを解した、あの違和感はこれだった。

そう、その時が来たのだ。

しかし覚悟のない僕は、その時を無理矢理延期させた。

ごめん、もう電車乗っちゃったよ、そうやって、来た電車を一本見送りながら打った。

僕は、逃げたのさ。

一人、誰も拾ってくれない大きなため息をつく。

その時、ホームで次の電車を待つ惨めな僕を知る者と言えば、神さまくらいだった。

もうちょっと早く言えば良かったね、優しい彼女は、彼女の勇気を拒絶した僕に言う。

告白を受け入れ切れないような弱い僕に。

神はおかんむりか。

 

申し訳ないが僕にはまだ覚悟ができないのだ。

君と一緒になる勇気が無い。

このままの関係が良いと、言ったよなぁ、彼女、このままじゃ、不満か?

男と女になると、色々と面倒じゃ無いか、一緒に超えないといけない物も増える。

先へ進もうとする二人は、そのまま足踏みだけじゃあ満たされないんだろう?

"私たちこの前手繋いだの"だのノルマみたく言って、どんどん満たすことを求めるようになるんだろう。

天気を語る程度で、僕は、良かったのに。

 

前もそうだった。

彼女とは今のように良い関係だったのに、一緒になった途端に、僕らは周りが見えなくなった。

前のままが良かった、前のままだったら何も失うものは無かった、そう思った。

もう同じ過ちは犯したくないんだ、僕は。

君を好くからこそ、二人でわざわざいつか失うものなど作りたくないんだ。

そう僕は考えるのさ。

 

どうか君を綺麗なままで。

どうか僕らを都合の良いままで。

あと二日の学校、どうしてもっと早く悩まなかったのか、今の僕に二日は短すぎる。

 

急遽行きつけのカフェでブラックコーヒーを飲むことにした僕は、これを綴りながら思う。

今日の満月は特別綺麗だ、と。

なんちゃらウルフムーンと言うらしい。

そんな、本当に全てが全て揃った時に、僕だけが何かに駆られていて、彼女のその刹那を無駄にした。

苦いコーヒーが心なしか更に苦く感じる。

どうか君を今日の満月のように綺麗なままで。

 

さて、僕は君と綺麗な愛を紡げるのか。