nekoyanagi0777’s diary

僕の/私の 脳内メモリー

"最後の最後"の続き

これが求め合ってるということなのか。

 

確かに会いたいとは思ったけど、それが必ずしも恋愛感情に繋がるということではない。

 

果たして今、彼女は僕をどう見ているんだろう。

 

 

 

"誘って欲しいなら、そっちから誘ってよ!"

 

動物園に遊びに行った帰り道、鬱憤を爆発させるかのように彼女は僕に言った。

 

いや、確かに会いたいとは思ったさ、思ったけど僕から誘うと、まるで僕が君を好きみたいになるじゃないか。

 

そうは言えなかった。

 

別に恋愛的に好きじゃないんだと先回りして言うのもいかがなものかと思った、なぜなら告白をされていないのだから。

 

しかも今彼女が僕のことをどう思っているか、わからない。

 

もしかしたら諦めて、もう友達の関係で良いと割り切ってるかもしれない。

 

でも、今日、僕は君が今まで言えなかったことを全て聞いた気がする。

 

君の今の気持ち以外は全て。

 

 

 

横浜で美味しいタピオカを飲みながら。

 

"あの子と水族館行ったの、どうだった?何もなかった?"

 

"ああ、何も無かったよ?楽しかった。"

 

彼女はそう?というような顔をしてた。

そのあの子、とはある女の子のこと。

僕と、ある女の子との色々を、その子は自分で部活仲間に相談していたらしい。

彼女とその子は同じ部活で、彼女はその子と僕が水族館に行ったことを知っている。

でも水族館に行ったことだけしか知らないと思っていたから、告白されたことは言わず、何も無かったと言った。

 

すると彼女は言ってのけた。

 

"いやー本当はねー全部知ってるよ。"

 

彼女は、僕とその子とのチャットのやりとりから、2回告白されたことまで、全て知っていた。

その子は部活内に1から10まで相談していたのだ。

 

"全部知ってるんだ、、。"

苦笑いを浮かべた僕に、そこから彼女は糸がほつれるように、ほろほろと今までの憶測を話し始め、答え合わせをしようとした。

 

"あの子からも告白されたでしょう?、、、あと、あの子、もしかして君のこと好きなんじゃないかなって思ったんだけど何も無かった?"

 

当たっていた。

少し間を取りながら話された彼女の憶測は、ゆっくりと確信に変わっていった。

すると、デートはどこに行ったの?と彼女の興味が噴水のように溢れ出してきて、今まで意外と見抜かれていた僕は弱くなって、ほぼ正直に話してしまった。

 

同じクラスのある女の子の話になると、"2人がイヤホンを片耳ずつ付けて動画を見る後ろ姿は青春だなぁって見てたよ、後ろのロッカーで。"と笑いながら話した。

 

"私と君が2人で話してると、その子嫉妬しちゃうからさぁ。"と、そう笑いながら言うのだ。

 

あぁ、鈍感に見えて全て分かっていたんだな、憶測で答え合わせができぬまま、一人でつらくて、それでも笑って一緒に教室で馬鹿をやってくれてたんだな。

あぁ笑って話す彼女、答え合わせを終えた今、君は僕をどう思う?

 

 

健気な彼女の一年間のアプローチで、僕は幾度か惹かれそうになった。

でもそんなこと言うと彼女に期待をさせてしまうから言わないが。

他の女の子を全て振ったことを言うと彼女は"かわいそうだよーーー"と少し悲しそうに言った。

僕は"別に自分の勝手だろう、遊びに誘って振ってるわけではなくて、あちらから誘ってくるのだから。好き嫌いはしょうがない。"と言った。

すると彼女は"匂わせてくるから誘いたくなっちゃうんだよ!まるで昔の自分を見てるみたいだよ。"と。

僕は別にそんなつもりはないのに。

"君は前もそうだったじゃん、会いたいみたいに言ってたのに自分から誘わないじゃん、結局こっちからいつも誘ってる、なんだかんだ1年前から思ってたよ、遊びたいなら自分から素直に誘ってよ。"怒ると言うより、嫉妬か、憎悪に近かったと思う。

 

でも僕が誘うとまるで僕が君のことを好きみたいになるじゃないか。 

 

そうは言えなかったんだなぁ。

僕はごめんごめんと笑って、会いたくなったら誘うと言って別れた。

会いたいと言ったら、君は友達として会ってくれるか。

そうなら良いんだ、良いんだけど、でもそれじゃあ今までの一年間の君の想いが溶けるようで僕は申し訳ない。

 

君は一番懸命だった。

どの子よりも色々をわきまえて、考えて、周りを見て行動していたんだな。

その中での戦略で僕はやられそうになったよ。

今日も君を素敵だと思った瞬間はいくつかあった。

でも僕は踏み込めない。

一緒になりたいとは思えない。

あの子も、その子も、こんなにも素敵だと思う君でさえも、同じ、友達なんだ。

君の想いに応えたいと思う僕は、今、君を誘うことでしか応えられないのかな。

それは逆に苦しくはないか?僕は分からない。

一緒になることはできないと思うから。

 

あの卒業パーティーの帰り、カフェに寄って君と一緒に帰ったな。

今日、偶然にもその日と同じ時間にカフェを出て、また同じように一緒に帰った。

どちらも"素敵な夜"だったよ。

これが"最後の最後"で、それっきりになるのだと思ってたあの卒業式の夜。

今回会えたんだから、"硬い握手で精一杯の僕ら"は、それっきりじゃ無くなったんだ。

だから僕ら、これっきりにならないよな。

また今度ね、のその"今度"を僕が作るよ。