nekoyanagi0777’s diary

僕の/私の 脳内メモリー

3月1日

久しぶりにクリアな状態のまま書き留めておきたいことがあったからここに記す。

今日は普段はあまり記さなかった特にRちゃんのことを。

切なくて素敵な夜のことも。

 

卒業。

 

僕ら43期は昨日卒業式を迎えた。

写真を沢山とって、寄せ書きを書いて、あぁなんだか形だけ終わりを迎えるんだな、と。

卒業式ではピアノ伴奏を務めたけど、何も泣くことはなかった。

正直大した部活にも入ってなかったし、行事に特別関与したとは思えなかったから、中学の頃のようにこれといった思い出はあまり無かった。

あぁこれで音大生だ、そんな風にも思ってた。

友達と別れるのは悲しいと感じていたくらい。

 

Rちゃんに寄せ書きを書いてもらおうと少しふざけて、長文期待してるよ、と言ってみた。

彼女は驚いたことに、一年間ありがとう楽しかったよ、としか書かなかった。

僕らの思い出はその程度なのか、とこれまたふざけて言ってやった。

彼女はいざ書こうとすると何を書けばいいか分からないのだと、その場を去ってしまった。

冷たいように見えて、照れているのは分かっている、だけどこれでお別れする訳にはいかないのだ。

 

無事卒業式が終わった。

この後、卒業パーティーがある。

しかし君は卒業パーティーに参加しないので、この卒業式直後が最後になる。

言いはしないが、君との一年間とちょっとを、こんなんで終わらせたく無かったのが僕の本心だった。

あんなに興味の無かった君に、これが恋愛かは分からないけど、とにかくほら今は、僕がなかなかにぞっこんなんだ。

なのに彼女はどこを探しても居ない、こんな一言じゃ終わり切れない、まだ写真一枚も撮っていないじゃ無いか、卒業生の雑踏で別れの悲しさが霞む中、一人壁にもたれて待っても彼女は現れない、LINEは既読がつかない、電話は出ない。

そこで僕は彼女と同じテニス部の友達を見つけた。

僕が、彼女は帰ったのか、と聞いたところ、どうも今テニス部で集まっているらしい。

友達が彼女を呼んでくれた。

わざわざ僕が写真を撮りに彼女に会いに来たんだ、他のテニス部の人達は黄色い声援を送る。

しかし僕達はそういう関係上にない。

なんで電話に出なかったんだ憤慨だぞ、とふざけて怒った。

ごめんごめんおやすみモードにしてた、と彼女はわざわざ来た僕に照れ臭そうに。

じゃあ撮るよ、パシャリ。

これでお別れだねと僕から話しかける。

うーん、とそれだけなんだ、彼女は。

じゃあまたね。

僕は別れを告げたあとに、一緒に帰る友達の方へ歩いている間、何度深呼吸をしようとして溜息をついただろうか。

君のブレザー姿、これで終わるんだな。

 

卒業パーティーが始まった。

乾杯をするも、Sちゃんしか見当たらない。

なんせRちゃんはテニス部と集まっていて来ないのだから。

ゆっくりしているとなんだか今になってみんなとの別れが悲しくなってきた。

この一年間何気なく続いてきた3Eとの毎日を、もう明日から送ることはないと思うと、無性に寂しくて。

みんな本当にいい子だった、放課後残って一人で掃除をする子、見た目とは裏腹に心の優しい子、友達を大切にするみんな。

いつのまにかクラスに愛着を抱いていたんだな。

忘れないよ、ユーモアがあり心の優しいクラスメイト。

 

2時間30分のパーティーが終わった帰り道、僕のスーツは誰かにこの姿を見て欲しそうだった。

Rちゃんはいない。

自分の家の最寄駅に着いた時、時間はそうだな、9:30くらいだった、別れを惜しむ沢山のLINEの通知の中、RちゃんからLINEが来ていた。

もう帰った?

最寄駅が一緒の僕らだ。

僕は今最寄駅だと告げた、そして厄介な夜の気持ちに酔ってしまい、ひとつ送った。

 

一杯コーヒー飲んでから帰ろうと思ってて、少し付き合う?

 

今どこ?と、二人が合流することになった。

彼女のブレザー姿が再び見えた時、どれだけ嬉しかったことか。

それを隠すように、本当に来たんだね、と言った。

来ちゃ悪かったかって?とんでもない、来てくれてこの上ないくらい嬉しかったさ。

 

僕の行きつけのカフェで一杯コーヒーと紅茶をそれぞれ飲んだ。

二人でいるだなんて、何ヶ月ぶりだろう。

2年の最後、いきなりLINEが追加された、君は幾度か僕を出掛けに誘ってくれたのに、何度目かの誘いになって断ってしまった。

あまり君を知らなくて、そして別に知ろうとも思わなかったから。

それが同じ3年E組になってから一年間、知らず知らずのうちに彼女にぞっこんになっていたのかもしれない。

定期的に好意を持つことがあった、あぁなんだかかわいいなと思う時が何度かあった。

興味の無かった僕をこんなにまでさせた君、一途に思ってくれて僕はただ嬉しかったよ。

 

10時になって、カフェは店じまいだと言わんばかりにお皿をガチャガチャし始めた。

だから、さぁどうしようか、って歩いて帰ることにした。

すると学校でのあの冷たい照れが嘘みたいに甘えてきた。

寂しいのに人前では強がってるのかな、なんだ素直じゃないなぁ。

僕の右横を歩く君。

まさか今日の最後が君になるとはな、思ってもみなかったよ。

僕の今日は、この君の横顔で終わる。

 

二人の別れが10時半過ぎに来た。

そっちが言わないなら、こっちからこの気持ちを思い切って言ってやろうかと思った。

でもそれを言えないのは僕が意気地無しだからなのか、それとも自分から言うほどの覚悟も気持ちも無いのか、多分後者なんだと思う。

厄介だろう、臆病なんだよ。

僕は別れが嫌になって、ハグでもして別れようかと思った。

でも僕らの関係上それは出来ない、せめてもの硬い握手だった。

じゃあね。

これが最後の、本当に最後の別れだった。

君は変わった話をするけれど、あぁやっぱりなんだか楽しかったな。

Sちゃんが良いと言っていた僕は、すぐ君に寝返ったりして、それだけ君も素敵なんだ、ごめんな。

二人とも、今日まで気持ちを明かすことはなかった。

家までの、ほんの少しの一人の帰り道。

片思いをしてるわけでもないのに片思いのラブソングを流す。

本当片思いみたいに苦しいさ。

二人を思う自分は、好きだと言える身分でも立場でも無い。

そんな中での君とのさっきの帰り道。

もどかしくて、素敵な夜だったよ。

最後が君で良かったってLINEを送った、告白みたくなってしまったな。

でも君も、僕で良かったと言ってくれたね、全部を悟って、他は何も言わずに。

綺麗な思い出として残したいけど、僕はまた引きずって傷だらけにしながら生きていくんだろうな。

この気持ちを忘れずに大学生になりたいよ。

ああ彼女、一年間の思いに応えられなくてごめんな。

そんな君も大学に行ったら素敵な出会いをするんだ。

正直それもまた複雑だけど。

 

僕の今日は君の横顔で終わった。

はがゆい気持ちを今になって抱いてももう遅すぎた。

ただ一年間のごめんとありがとうが入り混じる、パレットはごちゃごちゃで。

最後の最後でも硬い握手で精一杯の、僕らはそんな二人だった。