37.7度の熱。
いつも通りの演奏は困難と思われた、実技試験当日だった。
人生の節目である受験という出来事を、ここに書き留めないでどうするんだ、そう思いながら2日ほど経った今、自分を戒めるためにも僕は体調管理の重要性について書く。
11月20、21日と音大受験が終わった。
20日、聴音、コールユーブンゲン、楽典、特待生作文に特待生面接を終えた。
ずっと友達と居ていたし、受験講習会にも何度も足を運んでいるから、大した緊張はしていないように思えた。
しかし、身体と心は緊張からくるストレスを少なくとも感じていたらしい。
その日の夜、少し喉に違和感と、全身に倦怠感を覚えた。
測ると36.6度。
一応かなりの厚着をし、冷えピタをして寝た。
それがその夜を更に苦しめたに相違なかった。
暑くて暑くて寝苦しかった。
"風邪を引いたらあったかくしなさい"これを馬鹿正直に受け止めていた僕は普通の格好じゃあいけないと思って頑張って厚着をしていた。
その夜は本当に色々なことを考えた、暑くて暑くて。
明日の実技が大事なのにもしかしたら受けられないかもしれない、もしかしたらインフルエンザかもしれない、もしかしたらもしかしたら。
大変な夜を越え、大して寝ていない身体は想像以上に重かった。
朝測ってみたら37.7度。
正直練習通りの演奏は無理だと思った、そもそも試験会場に行けるのかさえも分からなかった。
とりあえず親に家にあるとんぷくを探してもらった。
当日に限って体調が悪くなるのが最近多い、しかしいつも僕は瀬戸際で救われる。
とんぷくを探してもらっている間、僕は呆然と夜の室温で少し冷えたソファに身を委ねていた、あれ、なんかさっきより暑くないな。
もしかしてを信じて測ると36.6度、きっとあの異様な厚着が良くなかったんだ、暑かったら脱げばよかったんだ、きっとそうだ。
よし、なんとか行ける、そう思った。
しかし食欲は万全ではないため飲むタイプのものを摂取した。
そして無事本番は乗り切った。
ピアノを演奏している間は熱のことなんか忘れていた。
素敵な演奏が出来たんだ。
そのあと主科面接で聞かれたことは丁度健康についてだった。
そうだよなぁと思った。
演奏する場面が増えるようになるのに、体調管理すら出来ていないなんてそんなの良くないよな。
僕は家に帰ってすぐ寝た。
あの布団は最高に気持ち良かったなぁ。
緊張する場面が増えるこれからなのに、緊張からくるストレスに負けていてはいけない。
そんなのにも負けない抵抗力や、体力をつけよう。
僕頑張る。