別にどってことないことなんだけど。
今日ピアノコースの演奏会の実習があって。
今まで結構面倒なことなり、決め事なりを受け持ってきて。
割と働いていて。
みんなに感謝されたりもして。
きっと当日も自分の受付の役割を全うできて、更にみんなのトラブルにも冷静に対応出来るんだろうなと期待してて。
格好いいパンツスタイルのスーツなんて着ちゃって、いざ当日になって。
先生からの指示に はい、と歯切れ良く返事をして、受付の2人をまとめようと試みて。
じゃあ担当を決めよう、だなんて仕切りたがっちゃって。
それでいざ受付時間になって。
お名前をお聞きしてもよろしいですか、だなんて普段言わない覚えたてのような拙い言葉を並べて。
○○です、と言われて、名簿から探すもなかなか見つからなくてお客さんもどんどん来て。
しかもその名前の漢字がわからなくて。
えっと、と言う私に、○○の○○に、、、と漢字を説明してくれるも、それが書けず、おどおどしてしまい、書いたら、いやこの漢字違います、だなんてまた言われて。
捌くテンポが遅いので、友達には「あなた漢字大丈夫?」だなんて見下して嘲笑うようにからかわれてしまって。
しかも彼女は私のあまり好きでは無い子で、その子から、あのトーンで あなた と呼ばれてすごく惨めな気持ちになって。
なんだか叱られているみたいで。
そしてその子に変わってもらうと、あら不思議、どんどん人も捌けていって。
しかも、自分の時には出なかったありとあらゆる、っぽい言葉が沢山出てきて。
大変お待たせしました、ご来場ありがとうございます、先にお進み下さい、○○様のご親戚でいらっしゃいますか、って。
自分にはそんな豊富なボキャブラリーは無いし、あったとしてもそんなに流暢に出てこないし、しかも話し方もハキハキしていて。
自分はご来場ありがとうございましたなんて言葉も言わないで、大人しく座席表にカタカナで名前を書いていって。
こんなはずじゃなかったのに、と隣で丁寧な言葉遣いで笑顔を振り向く彼女を尻目にして。
しかも、苦手な彼女にやってのけられてしまい、なんだかやるせない気持ちになってしまって。
演奏はどんどんと進んでいって、彼女ともう一人はドレスが可愛いだの、演奏が素敵だの話していて。
呑気なのにやることは出来て、いいねって。
これだけなんだけど。
テンパると何もできなくなってしまう自分。
懐かしい、覚えている。
あれは中学の吹奏楽部の時だった。
同じようなことが何回かあったな。
コンサートのMCをやった時は、やっぱりあなたは向いてないわねぇというようなことを言われたことがある。
お客さんの対応にあたった時も、周りが丁寧な言葉で、すぐに判断をしてきびきびと動けていたのをみて、あぁ自分はすぐに気の利いた言葉が出ない、と思ったものだった。
やっぱりどこか出来損なっているのかな、と中学生ながらに思っていたなぁ。
自分も この人に任せれば大丈夫、になりたいなぁと思っていたよ。
そんなやつが企業で企画をやりたいんだ!なんて言っても、うまくいかないんじゃないかなぁとか、そんなことも受付の時に考えてた。
ただバイトなどの経験が少ないとか、そういう理由だったら希望は見えるけど、やっぱりあの子ってなんか出来ないよね、になっていないかな。
子どもの時からひそかに、テンパった時に冷静に判断できるような人に憧れを抱いていた。
自分もそうなりたい。
でも最近の自分は内面を鍛えるのに努力をしてきたつもりだ。
少なくともあの頃よりかは幾分賢くなっている。
物事の分別もつくようになっているはずなのに。
今鍛えている部分は違うところなのだと言われれば、そうかと思うけれど。
あの頃の出来損ないの自分でずっといるのは嫌だなぁ。
どこか少し抜けている自分でいるのは嫌だ。
ここ何日も雨が続いている。
今日ももちろん雨だし、明日もどうせ雨だ。
スーツのパンツがひっついてくる。
嫌だ。
ひっついてくれるな。
付いて来ないでくれ。
昔の自分とはおさらばしたはずだのに。
でもどうせ、寝れば元気が出るさと思ってきっと早く寝る。
明日はピアノとヴァイオリンの合わせがある。
あなただめねぇ、と言われたらどうしよう。
自己肯定感が、確実に今、下がっている。